2014-04-01から1ヶ月間の記事一覧

疾痛

学校からの帰り、友人の一人がしきりに腹が痛いと言ってきたことがあった。もしかしたら胃潰瘍じゃない?と適当に答えた。その頃の僕はなぜか直感力に優れある事象について頭に思い浮かんだことを口に出すとほとんどが当たっていた。友だちはそんなん言うな…

さよなら栗川先生

富岡製糸工場世界遺産登録のニュースで僕が小学校五年の時に野麦峠をテーマにした劇をやったことを思い出した。その頃はあゝ野麦峠というドラマが大ヒットしていて大竹しのぶが注目されていた。担任だった栗川先生はいわゆる同和教育に熱心な方で道徳の時間…

冬のコオロギ讃歌

週末はともかくレコード屋回りばかりしていてそれがほんとうに趣味であり生きがいでもあり趣味でもあった。深民淳や伊藤政則の書いたブリティッシュロックのガイド本とレコードマップを片手にいろんな店をあるきまわった。神戸だとウォータールーレコードと…

電話交換手

スーパーでサイコロステーキと玉ねぎを買う。冷蔵庫にはケチャップがあり台所の戸棚にはウスターソースがある。バターはないがマーガリン、ニンニクはある。これだけの材料でハヤシライスを作る。夕ごはんは時代劇を見ながらハヤシライスを食べる。月曜の夜…

海を見た

連れ合いとただなんとなく海に行こうというはなしになりそういえば一度だけ潮干狩りしたことがある明石に行こうと出掛けた。かなり前なのでその時の記憶が定かではないが砂浜を少し歩いて明石焼が食べれる店に入った。潮干狩りをした砂浜はどこだったか全く…

乱破

ベアーズでのリハが終わりそういう時は必ず新星堂の楽器屋に立ち寄ることにしていた。まだまだその頃は次から次に出される新しい"未知の楽器"に魅了されていたしまだ20代だったので今よりも好奇心旺盛だった。ショーウィンドウにトランペットがあった。13800…

一度だけ死者を見たことがある

夕焼けがベランダに差し込んできて足元がその色に染まっていた時いつものようにぼんやりしていた。突然足元の向こうの夕焼けから人型が浮かんできた。顔がはっきりとわかった時それはとても懐かしい人だった。もうすっかりと忘れていたんだけど今ごろなぜ。…

黒猫の死

昼間の出勤神崎川沿いを雨の中自転車を走らせ始めると路肩に黒いものが。目を凝らしてみるとそれは横たわった黒猫だった。頭のほうはキルトのマフラーを被せられていたのでどんな顔をしていたのかわからない。おそらくかわいそうに思った人が自分のマフラー…