電話交換手

スーパーでサイコロステーキと玉ねぎを買う。
冷蔵庫にはケチャップがあり台所の戸棚にはウスターソースがある。バターはないがマーガリン、ニンニクはある。これだけの材料でハヤシライスを作る。
夕ごはんは時代劇を見ながらハヤシライスを食べる。月曜の夜七時というめずらしい時間帯。
ベランダで何か音がしたので開けてみる。
近所のアパートの家主が飼ってる猫だった。
その一年後にアパートは住人の寝タバコで火事になり猫は行方不明になるんだけど。
ともかく猫がこちらを向いていたのでサイコロステーキ一つを差し出した。猫は近づいてきたがサイコロステーキの匂いを嗅いだだけですぐに立ち去った。
その様子をすぐにメールに記しRに送る。
ネコってサイコロステーキきらいやねんな〜
と機嫌よく返事が来たので安心した。
Rは定期的に統合失調症のクスリを大量に一気服用する。そして意識不明になり病院に運ばれ胃洗浄をする。
だからメールの返事がすぐに返ってこない時はそのことを心配する。またある時は風邪薬を大量にため込んでそれを飲んでどこか知らない世界にぶっ飛ばそうとした。いつか終わりの時が来るな、そう予感があった。

深夜、電話がかかってきた時は大学の友達が水商売をやっていていろんな人から金を借りまくっている、どうしたらいい?というはなし。12時から朝3時まで話を聞かされた。

ネコはいつの間にかピアニストキャットという名前になった。ピアノを静かに弾くピアニストキャットの目の前にサイコロステーキが落ちてくる。ピアニストキャットは半狂乱になり戦争を起こすという話によく笑う。ほんとうに機嫌がいい。

たぶん今日は深夜に電話がかかってくることはないだろう。