狼煙

先日は自分が主催する廃藩置県フェスティバル東京篇(東京篇はT.T.端子さんとの共同企画)と友人が店長をやっている横浜の試聴室その2でライブをさせてもらいました。 東京篇は六組の予定でしたが急遽おはるの時間をオープニングアクトに。実際はオープニング…

私を金星に連れてって

8/14ははにゃうにゃさんの10周年記念ライブで久々にベアーズに出た。10年前、はにゃうにゃさんの初めてのソロ出演で僕は対バンだった。その縁で今回僕は呼ばれたのだ。僕もその時のことははっきり覚えている。あの日はものすごい大雨だった。見に来てくれた…

星は巡り人は生まれ死ぬ

去年の今頃は職を失い母が癌で手術を受け病院と実家を往復する毎日だった。周りの身内には大病するものが何人かいたが、どれも手遅れで手術する間もなく亡くなっていたので手術というのがどういう過程でおこなわれるのか初めて知った。結果的には成功だった…

盲狼

18才、専門学校は夜間部。一才年上の北村くんは僕をよくコンサートやライブに連れていってくれる。彼はすでにいわゆる業界というものに出入りしていてその縁か招待券をもらっていてその同伴として僕を連れていった。やっとギターソロみたいなことが出来るよ…

砂の丘

けさ、自分が働いている店に突然二十年前に付き合っていた人が現れた。僕が立っているところから離れていたのでおそらくこちらには気づいてない(と思うが)。僕は自分の名札を隠し背中を向けるように仕事をした。間違いなくその人だった。二十年前もこのあた…

疾痛

学校からの帰り、友人の一人がしきりに腹が痛いと言ってきたことがあった。もしかしたら胃潰瘍じゃない?と適当に答えた。その頃の僕はなぜか直感力に優れある事象について頭に思い浮かんだことを口に出すとほとんどが当たっていた。友だちはそんなん言うな…

さよなら栗川先生

富岡製糸工場世界遺産登録のニュースで僕が小学校五年の時に野麦峠をテーマにした劇をやったことを思い出した。その頃はあゝ野麦峠というドラマが大ヒットしていて大竹しのぶが注目されていた。担任だった栗川先生はいわゆる同和教育に熱心な方で道徳の時間…

冬のコオロギ讃歌

週末はともかくレコード屋回りばかりしていてそれがほんとうに趣味であり生きがいでもあり趣味でもあった。深民淳や伊藤政則の書いたブリティッシュロックのガイド本とレコードマップを片手にいろんな店をあるきまわった。神戸だとウォータールーレコードと…

電話交換手

スーパーでサイコロステーキと玉ねぎを買う。冷蔵庫にはケチャップがあり台所の戸棚にはウスターソースがある。バターはないがマーガリン、ニンニクはある。これだけの材料でハヤシライスを作る。夕ごはんは時代劇を見ながらハヤシライスを食べる。月曜の夜…

海を見た

連れ合いとただなんとなく海に行こうというはなしになりそういえば一度だけ潮干狩りしたことがある明石に行こうと出掛けた。かなり前なのでその時の記憶が定かではないが砂浜を少し歩いて明石焼が食べれる店に入った。潮干狩りをした砂浜はどこだったか全く…

乱破

ベアーズでのリハが終わりそういう時は必ず新星堂の楽器屋に立ち寄ることにしていた。まだまだその頃は次から次に出される新しい"未知の楽器"に魅了されていたしまだ20代だったので今よりも好奇心旺盛だった。ショーウィンドウにトランペットがあった。13800…

一度だけ死者を見たことがある

夕焼けがベランダに差し込んできて足元がその色に染まっていた時いつものようにぼんやりしていた。突然足元の向こうの夕焼けから人型が浮かんできた。顔がはっきりとわかった時それはとても懐かしい人だった。もうすっかりと忘れていたんだけど今ごろなぜ。…

黒猫の死

昼間の出勤神崎川沿いを雨の中自転車を走らせ始めると路肩に黒いものが。目を凝らしてみるとそれは横たわった黒猫だった。頭のほうはキルトのマフラーを被せられていたのでどんな顔をしていたのかわからない。おそらくかわいそうに思った人が自分のマフラー…

ふたり

10年ぶりに宮本章太郎との二人だけのトラディショナルスピーチのライブを昨日油野美術館で披露、すごく懐かしい気持ちになる。彼が入ってからの10年間メンバー増えたり継続していったけど結局"二人だけが残った"。紙にいろいろ構成を書いて考えるという時間…

早朝の月の明かり

なんというか、人と会うのが怖くなってきた。今までの不安や恐怖が蓄積されてきたものが一気に吹き出した感じ。仕事以外はほんとうに引きこもっている。自分の感情が整理出来てない。夜の怖さより朝の静寂に得体の知れない不安を感じてしまう。なので当分引…

円環

早朝バイトが終わり実家への帰り道、母がかかりつけの病院に向かっていた。そのまま帰ろうかと思ったが結局近くまで自転車で母を乗せて行くことにした。自転車の後ろに乗るのも疲れるらしく、もういいと言うので三国橋越えたところで降ろした。幼い頃は母の…

傷刻

母の手術傷の痛み、まだ取れることなく痒みも生じている。やはり治癒するにはまだ時間がかかるようでもう開くことはないと思うが母の知人の何人かは本人に対して "下手な医者やったらまた傷口開くかもしれへんで"と言っているそうだ。ほんとうに余計なことば…

神崎川レコードのはなし

ずいぶん前、自分のバンド名に本気で神崎川レコードとつけようとしたことがあった。その時はいろいろメンバーから反対されたので結局断念した。もっともその反対理由も聞かなかったがなんとなくわかった。しかし"川"と"レコード"をくっ付けた先人のセンスは…

狼狽

母のことがだいぶ落ち着いたので一安心、といえば一安心なんだがあとひとつ仕事を決めなければという焦燥感がありそれがじわじわ忍び寄ってくる。この三月〜五月はいろんなことがあり過ぎた。ほんとうは何もかもほっぽり出して当分引きこもりたいのだが台所…

帰還

母が戻ってきたので猫が嬉しそうだ。これからどうなるかわからないがとりあえず安心している。早朝の短時間バイトを実家近くで始めた。あと一つ見つけないと生活費が維持出来ないのでまたいろいろ面接に行っている。そういえばだいぶ前にほりゆうじくんの雇…

片翼だけの叫び

父が亡くなったのは私が高校三年だった時の12月だ。その一ヶ月前に長年の飲酒が祟ったのか何度目かの入院をしたのだ。その頃風呂のない家は我が家ぐらいなものだった。私は家が狭いことよりも風呂がないことに嫌気がさしていた。そのことでよく父と言い争い…

薄氷

なかなか仕事も決まりにくい。工場のライン作業、挑戦したが全くかみ合わず上の人から本当に大丈夫か?と面談で呼ばれた。一応こちらの家庭内の事情を説明しその日一日考えさせて下さいと返事、家に戻った。これからも実家に何度も戻ったりしないといけない…

麻酔

慣れない仕事の昼休憩、食堂のテレビでやしきたかじんの番組をやっていた。しかし体調不良のためたかじんは当分休養、復帰後の番組の総集編をやっていた。そこでたかじんは麻酔や血液凝固剤、輸血、手術などいろんな同意書に一枚一枚サインをしなければいけ…

黄金の犬

また部屋番号が変わっていた。次は大部屋で他の入院患者もそれぞれベッドと仕切るカーテンの中で横たわっている。母に川中美幸のCDとCDウォークマン、それからイヤホンと予備の乾電池を渡した。再生方法や曲送りなんかを教える。イヤホンをしながら鼻歌を口…

動揺

昨夜、いつものように病院に面会に行った。しかし何だか様子が違っていた。見ると母に再び呼吸器が繋がれ見知らぬ女性が側に立っていた。急変したのか?と思いながらも平静を装い「お母さん」と声を掛けた。見知らぬその30代ほどの女性をてっきり遠縁の親戚…

演歌

麻酔も完全に切れたせいか母が手術の傷の痛みを感じ始めている。点滴に痛み止めを入れるかそれとも別にするか看護師に聞かれたがその違いがよくわからない。まだいろんな管に繋がれているので歩いてはいけない。せいぜいベッドを起き上がれる程度。母に(歌で…

カーネーション

夢を見た。それほど親しくないあるミュージシャンと一緒に大勢が集まる店内が座敷だけの居酒屋に入る。貸し切りだ。店内に入ると隣は喫茶店になっていてミートスパゲティとピザパイがあり私はそれを食べる。とここで目が覚めて実家に泊まっていたことを思い…

手術室

母の手術は五時間ほどで終わった。手術は昼過ぎぐらいからと聞いたので朝11時に行った。しかしすでに病室には誰もおらず看護師さんに聞いたら先に全身麻酔をかけるために手術室に行ったと言う。戻ってきたら病室が移動になるので寝巻きやイヤホン、植田まさ…

生きる

私はこの人の子供。この人は私の母親。生きる、生きる、いつまでも生きてやれ。

夜間病棟

今日は五時半起きで七時前に家を出て八時から仕事だった。集まった何人かがミュージシャンだったというのは意外だったけど。車で京都に行き帰ってきてもう夜七時半過ぎていたので病院に見舞いは行けなかった。しかし何とか実家に帰って猫の餌やり。その頃に…